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就活の企業研究で見るべき、たった3つの重要指標とは?

業界・企業研究の方法がわからず、四季報や業界地図を眺めるだけの就活生も多いはず。今回はそんな就活から脱却し、外資系コンサルで働く社会人の方から、効率的な企業研究の方法をインタビューしました。

四季報や業界地図を眺めるだけの企業研究から脱却しよう

-石田さん(仮名)、本日はよろしくお願いします。

まず、今の仕事内容を教えてください。

石田:今は外資系のコンサルティングファームで働いています。実は転職をしていて、最初は日系メーカーに就職しました。

日系メーカーでは企画系の部署にいたので、数字など定量的な情報を扱うことが多かったですね。

-どんな就活をしていたかを教えてください。

石田:自分は超大手企業から、ベンチャー企業まで幅広く見ていましたね。

就活初期にはやっぱり大手企業から見ていたのですが、少しずつベンチャー企業も見るようになりました。ウィンターインターンの時点では、ベンチャー企業のインターンに参加したりもしました。

-企業研究をするにあたって、ファイナンスに基づく企業研究を重視していたと伺いました。

どうしてファイナンスに注目して、企業研究をしようと考えたのですか?

石田:普通の学生さんは、四季報で志望企業を見たり、業界地図を見て企業研究をされると思います。いわゆるマニュアル的な企業研究の方法ですよね。

自分も最初は、マニュアル的な進め方をしていました。ただサマーインターンが終わるくらいのタイミングでマニュアル的な企業分析の方法はやめました。

きっかけとしてはサマーインターンでは新規事業立案系の内容に取り組み、そこでのマーケット分析がとても濃かったことです。自分も参加して驚いたのですが、業界地図に載っているような情報は、市場規模くらいしか使わない。非常に効率的でかつ、中身の濃いものでした。

どんな風に企業研究をしていたかというと、既存企業が出しているIRだったり、決算短信だったりを見て、業界構造を理解するというもの。

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たったこれだけ!企業研究における3つの重要指標

-IRを用いて、企業研究を進めていくと。ではファイアンス観点からで企業研究するときにはどんな指標を見ればいいのでしょうか。

石田:企業規模や、業界によっても違いますし、何を明らかにしたいのかによっても大きく異なりますね。ですが大きく分けると3つくらいの視点があります。

その企業研究で見るべき指標は、成長性指標、収益性指標、安定性指標の3つですね。

この3つに絞って、業界・企業研究を行うと、効率的に進むと思います。

-なるほど。順番に聞かせてください。まず、成長性指標については何を見て、どのように企業研究をしていたのですか?

石田:成長性指標とは何かというと、大まかに2つの指標があります。

それは増収率、増益率の2つです。

単純に言えば、会社の売上が伸びているかと利益が伸びているか。どちらも基本的には前年比で見る数字になります。

以下のような就活軸を持ち、企業を選びたい人にとっては重要な指標だと思います。

・若いうちから、権限を持って働きたい。

・上昇志向が強く、早くからチームを持ちたい。

ベンチャー企業を見る際にはこの数字を見ておくのがいいと思います。

ただし、ベンチャーなど創業年数が短い会社はリスクが高そうだと思っている学生も多いと思うので、その場合には安定性指標も合わせて企業研究を行うと、優良企業の見分けがつくと思います。

-では安定性指標は何を見て、どう企業分析すればよいのでしょうか?

石田:流動性比率、当座比率、自己資本比率の3つですかね。

資産には、現預金のように流動性の高いものと、土地、建物など流動性の低いものがあります。

これは負債についても同様です。流動性が高い資産は、短期で使うことができます。一方で、会社にとって負債は直近で返済したりしないといけないと思ってください。

この流動性の高い資産と、負債のバランスが悪いと資金繰りが悪化して会社は最悪倒産します。

基本的には流動負債に対して120%程度の流動資産があれば問題ないと言われています。

150%を超えるような企業は、かなり健全な経営をしていると言えますね。

当座比率はもう少し厳しい指標で、流動資産の中から棚卸資産等のものを差し引いたものと流動負債のバランスを見る指標になります。

こちらは一般的に100%を超えていれば問題ないと言われていますね。

自己資本比率は名前の通りです。会社の資金を返す必要がある負債、いわゆる有志で賄っているのか、株式で賄っているのかを見るための指標です。借金が多いのか、少ないのか分かる。

-なるほど、指標をいくつか見ていくと、企業分析が深くできますね。ですがベンチャー企業だとデータとして公開されていなかったりしますよね。

石田:そうですね。ただ近い業界はありますよね。競合企業とか。

そこから類推することができると思うのと、とっておきの方法としては登記を取り寄せることもできます。

-収益性の指標についてはどうでしょうか。

石田:収益性の観点で言えば、以下の指標でしょうか。

売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率。どれも言葉の通りなのですが、まず売上高総利益率は会社のおおよその利益率を把握することができる指標です。

基本的にはこれらの比率が高いと利益率が高い会社ですね。

-利益率を見るときに気をつけていたことはありますか?

石田:業界によって平均的な利益率は違うので、絶対的な指標ではないということですかね。

ただ業界のトップ企業同士でも実は利益率に差があったりする。同じ業界同士の企業の比較や、業界同士を比較してみると、企業研究の理解を深められると思います。

特に最近は利益率の高いベンチャー企業がたくさんあるので、それの企業と、日本の伝統的な企業を比べてみても面白いかもしれません。

例えば同じ広告代理店でも、総合広告代理店とネット広告系の企業では利益率が違ってきます。もちろん、総合広告代理店同士でも利益率は結構違うのですが。

-数字としては理解できると思いますが、なかなか何に役立つのかイメージが難しいですね。

石田:売っているものをどこから仕入れて、どんな価値を付加して売っているのか。これが基本的には利益の源泉になります。なので、利益率を知っているとビジネスの構造が分かると思っています。

もちろん全てが分かるわけではないのですが、基本的なビジネス構造は分かると思いますね。

-なるほど、確かにそうですね。就活生の方に何かアドバイスはありますか?

石田:自分が思うのは、ブランドだけで企業を見て、数値に基づく企業研究を怠ると相当危険ということ。東芝も、少し前まではブランドがとてもあった企業ですが、倒産の危機に瀕していますよね。

昨年には、就活市場において人気の高い総合商社のトップ企業が創業以来、初めての赤字を計上しました。ビジネスの構造をしっかり見ておかないと、こういった現象がリスクなのかどうか、さらにはどの程度大きなリスクなのかが判断できません。

せっかく社会人としての最初の1歩を踏み出すので、マニュアル的な就活だけではなく、自分なりの視点で企業研究をして、よい会社選びをして欲しいと思います。

-どんな有名企業でもリスクはある。だからこそ数字に基づいた企業研究で、ビジネスの構造をチェックしておくべきということですね。ありがとうございました。

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